Dragon Fang
「ありがと。」
目当ての物が落とせたらしく、良壱はその場を動く。
あたしも後ろからついていった。
「その時、何か言われた?」
「何かって?」
「何か。」
曖昧な表現に首を傾げたくなるのは分かる。
でも、あの母親が言う事は何でもありそうで、例えが浮かばない。
「言われた…より、言った。」
「え、何を?」
急にだんまりになってしまう。
『背が小さいのはお母さん譲りですか』
とか言ったら、あたしもあの人もすごく怒るよ。
良壱は、次のターゲットを見つけたらしく、100円玉を入れる。