Dragon Fang
答えず、また集中する良壱に声は掛けづらい。
肩を竦める。
「……に…って。」
「え?」
あたしが違う方向を向いた瞬間に、雑音と一緒に聞こえてきた。
「もう言わねぇ。」
「もう一回。」
「絶対言わねぇ。」
言ってくれないらしい。
貴重な一言を逃した。
チッと静かに舌打ちしたら、睨まれる。
速やかに視線を逸らし、猫のヌイグルミへ持っていく。
「…幸せにする。」
口を開いた良壱は続けた。