Dragon Fang
夏弥は、あたしを見ていた。
何も言わず。
「心配だから、危ないから、とか言うの?」
久々に嘲笑が出てくる。
こんなに寂しくなる自分にも。
黙ってる良壱にも。
「…那瑠には、関係ないことだからだよ。」
体のどこかがブチ、と切れた気がする。
あたしは、眉間に皺を寄せる事なく体の力を抜いた。
今、何かを考えると壊れそう。
ムカついて夏弥を殴ってしまいそう。
「…そ。」
だから、目を閉じた。
“関係ないこと”と言われてしまえば、もう何も言えない。
良壱はあたしと夏弥の会話に何も言わなかった。
という事は、同意してるのだろう。
良壱も夏弥も悪くない。
でも…。