Dragon Fang
しばらくしたら、良壱が帰ってきた。
またあたしの隣に座り、煙草を吸い始める。
「…今日、羽瑠のとこ行きたい。」
「は?」
「だから、良壱の家には帰らない。」
ゴロゴロと鳴く猫を見ていて、あたしは良壱の方は見ない。
あの日から、あたし達の間には気まずい空気が流れている。
でも、分かんない。
その空気を感じているのはあたしだけなのかもしれない。
だったら、思い知らせてやる必要がある。
「止めとけ。」
良壱の言葉に、あたしはそっちを向いた。