Dragon Fang
良壱はあたしの頭を撫でて、少し抱き締めてくれるように背中を優しく叩いた。
教室から出て行く良壱の背中を見る。
耳を済ますと、廊下に出て走る足音が聞こえた。
一人になった気分。
周りはガヤガヤと煩いくらいなのに。
あたしは一人で廊下に出た。
何の目的があった訳じゃないけど。
雨が降る外を見ていたら不意に誰かと視線がぶつかった。
体育館の一階の屋根のあるところで、数人で屯している男子の一人。
真っ黒い髪の、普通の奴…では無さそう。
あれは、“恐界連合”の人間じゃない。
どこか違う族のような気がした。
その男子はあたしに向かって微笑む。