Dragon Fang
「本当に抗争が起きる日分からないの?」
傘を取りながらあたしは聞く。
「知ってても教えないと思うよ。」
「何故?」
センも立ち上がって、こっちに来た。
「俺は族の人間じゃない。情報屋だ。
情報屋は、夜の世界の均等を保つ為にいる。
なぁ、忘れるな。蝶々。」
羽瑠とは反対の言葉を紡ぐセン。
あたしは振り返った。
「確かにお前の事を気に入ってる。
小さい背も女の魅力がない所もな。」
「短所をどうもありがとう。」
ピクリと頬が痙攣する。
「俺は、あっちの味方でもなけりゃ。
お前の味方でもねぇ。
それだけは、覚えとけ。」
「…わかってる。」
あたしは裏口から出た。
外はまだ雨が降っていた。