Dragon Fang
あたしは口を開く。
「…高くつくよ?」
嘲笑うように。
「上等だよ。何でもいくらでも払う。」
「スイーツ食べ放題に連れてってもらう。」
クスクス笑う夏弥。
これが、あたしの中の夏弥。
さっきみたいに疲れて悲しそうな目をしてるのは違う。
「でも、呼ぶ事がないのを願ってる。」
…平和を望んでる。
首を突っ込みたくてしょうがないけれど、あたしは本来争い事を好まないから。
だから、静かに終わってくれた方が良い。
亜美の言ったみたいに、『力試し』なんてしない内に…。
「俺もそう思う。」
穏やかに笑う夏弥は、欠伸をして机に突っ伏した。
余程眠かったんだろうなと思って、あたしは静かにしていた。
桜が散る。