Dragon Fang
思わず、あたしも自分の手を見てしまう。
あたしは…この手で沢山の人を傷付けた。
あたし自身も。
けれど、この手で手に入れた物もある。
それは地位であって、仲間である物。
「…今更。何言ってんの?」
あたしは自分の手から視線を上げて、さっきよりも強くタキを見据えた。
「人を傷付けるのが人でしょう?傷付いて、傷付けられて強くなる。」
「…。」
「そうじゃないの?
だから、あんたは…良壱に抗争仕掛けに来たんじゃないの?」
立ち上がった。
タキはやっと自分の手から目を離してこっちを見る。
あたしは、黙ってカフェを出た。
後ろからは誰も来る気配はなかった。