追憶のマリア
―――――10年前―――――
「今度はテロ組織だと。」
がむしゃらにセックスした後、仰向けに寝転んで俺は言った。
「また危険な任務ね。」
たった今俺が抱いた女は、恥らうことなく目の前に全裸をさらけ出して、心配そうに俺を見た。
ここは京子の部屋。
任務と任務の間の、束の間の休暇を俺はいつも京子のマンションに入り浸って過ごす。
「何10万の命が俺に懸かってるんだ。」
俺は得意げに言った。
「それに…」
そう言いながら身体を隣で横たわる京子の方へ向けた。
「俺、何があっても絶対死ぬ気がしないんだ。」
と言って微笑んだ。
「俺は絶対死なない…」
そう言って、京子にゆっくり顔を近づけて優しくキスをした。
そう、俺は不死身だ。
自己防衛本能が人並みはずれて長けている。
ついでに戦闘能力も…
「だから…今度の仕事が終わったら…結婚しよう。」
俺はそう言って京子を見詰めた。