追憶のマリア





 聞かれてた…







 正体がバレてる…








「いつからだ?」


 俺はもうごまかしきれないと悟り、れんに尋ねた。


「あの女レイプした俺を、お前は殺さなかった。あれが失敗だったなぁ…。」


 れんは嬉しそうに笑った。


「俺を…試した…?!」


 だとしたら、若い女にしか興味のないれんが、わざわざ俺に殺されるような危険をおかしてまで、彼女をレイプしたことの説明がつく。


「さぁね。」


 どうでも良さそうに言うれんを、俺は呆然と見詰めた。


 そこへ、プロペラの回転音を暗闇にとどろかせて、ヘリが現れた。


 このヘリは悪徳自衛官に扮して、れんに雇われた捜査官が操縦している。


 れんがこれに乗り込めば、俺の任務は終わる。





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