やさしいじかん。
小さい子供達に混じって高校生が2人。
シャツを脱ぎ、タンクトップ一枚でフラッシュゲームをやり始めた無邪気なコータを見つめた。
「分かって」いる。
自分は今まで部屋にいて、薬を飲んで眠ってたんだ。
忘れちゃいない。
そして、ついこないだ死んだはずのコータが元気で側にいる、この場所。
夢なんかじゃない。
ここは、私のいる世界ではない。
なぜか、確信できる。
蒼い空。 緑。
自分は「元の世界」に戻らなければ。
でもせめて。
せめて今のうちに、記憶して収めておきたい。
だって、コータを失って始めて気付いたから。
2人でした鍋も、こっそり学校をサボった事も。あなたと見るものがどんなに楽しいものに変わったか。
2人重なって響く足音を、どんなにいつまでも聞いていたかったか。
まぶしく感じる。コータの笑顔も、姿も。
「はい、綿菓子っ。」
「わあ~、一口ちょうだい。」
カランコロンカランコロン☆
「おめでとうございます!一等賞!。」
「わあ……。」
賞金を受け取る。
「…缶ビールだ。」
「俺ら未成年に見えなかったんかな?。」
「うれしくなあい!」