君*世界*恋心
毎度のことで乗る恭のチャリの後ろも、今日はなんか違って。
恭の背中はおっきい。
恭の背中はあったかい。
恭といると、落ち着く。
楽しい。
うれしい。
今更気づく自分に怒りに似たものが込み上げてくる。
無意識に恭の服をつかんだ。
「どーしたの?」
どこまでも穏やかな恭の声。
「んーん。」
なんでもない。
杏がこうしたかっただけ。
そして、恭が言ったこと。
「今日はクラスの人にも会えたし、杏と出かけれたし!超楽しかった!」
・・・ちょっと悲しかった。
『杏と出かけれた』って言葉より『クラスの人に会えた』って言葉が先に来てたから。
たまたまだよね?
胸に広がりつつあるモヤモヤを払うように空を見上げた。
冬の重たく黒い雲が、
空を覆っていた―――――。