文章のおべんきょう
廊下の奥にある引き戸の先には、日当た
りの悪い狭い庭があり、石段の上に、
つっかけが三足あった。

にな川は何も言わずにつっかけに足を
突っ込み、庭を歩いていく。私もつっ
かけを履いて、庭に下りた。

庭には盆栽や古雑誌、旧式の小さな洗濯
機や物干し竿なんかがあって、さしずめ
屋根のない物置きといったところ。

足元の生えっ放しの雑草には、蚊が群が
っている。


・・この場面はまあ、作者がどこかで
実際に見た民家を再現しているか、
いくつかの記憶を組み合わせているの
だろうと思うのですが、

この辺が「観察力」の見せ所ですね~。
または「創作ノート記録力」かな?

この場面、作者が見たものを再現したと
仮定して、作者が以前どこかで見た
「日当たりの悪い庭」に何があったか?

何があっても不自然でなかったか?
現実の光景として説得力があったか?
というと、

石段の上のつっかけ、盆栽、古雑誌、
洗濯機、物干し竿、雑草と蚊、
だったわけです。

この中でも特に、石段の上の三足の
つっかけと、古雑誌がたぶん束ねてある
ところが、この家庭の固有の事情や歴史
を感じさせるではありませんか?

そして「比喩」の活用。

「さしずめ屋根のない物置きといった
 ところ」

というのがそれですが、ドッサリと物、
それもちょっと古そうな物があふれて
いる様子が目に浮かぶようです。

雑草に蚊が群がるところもイメージ
しやすいですね。ということは・・

「どういう「アイテム」(つっかけや
 盆栽や古雑誌や蚊など)を配置すれば、
 読者が状況を目に浮かばせやすいか」

ということを、一度落ち着いて意識して
書くというのは良さそうですねえ。

もちろん、先に「作者の目に浮かんで
いる」ことが必要ですが。



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