Triangle‐狼達とうさぎの関係‐
「目立ってないから。」
そう言ったのを聞いたのか
聞いていないのか席を立つ渡辺。
「あーぁ。
ここって可愛い子多いので有名だから
だれか紹介してもらおうと
思って来たのに駄目だわ。
矢野滝といると俺が余計にかすむ。」
そんな目的で来たの?
知らなかったんだけど。
「17歳秋。
わざわざ他校の文化祭来てまで
矢野滝と2人で回ってる俺って…。」
「いいでしょ。久しぶりだし。」
「相変わらずのんきなやつ……。
ま、そんなこと言ってられるのも
今だけだぞ。ほら、あれ。」
「ん?」
教室を出て渡り廊下に来た所で
渡辺の視線を辿っていくと
見下ろした所にある屋台で
満足気に焼き鳥を差し出す陽詩と
戸惑いながらも陽詩の手に
手を沿えてそれを食べようとする雪乃。
「え、ってか大丈夫?
付き合ってるように見えるんですけど。」
「………。」
「あれって確か青井陽詩?
中学で早川さんと
仲良かったみたいだけど
高校も一緒だったんだ。」
「…みたいだね。」
「『みたいだね』って………。
戦う気あんの?」
戦う気………。
_