Triangle‐狼達とうさぎの関係‐



「昔はそんな意地悪じゃなかったもん。」



幸はもっと控え目で…優しくて…
意地悪なんてしなかった。



「…それ、いつのこと言ってる?」



突然真剣な顔になる幸。



「『いつ』って…言われても…。」



話していくにつれて
声がだんだん小さくなる。



「中学?それとも…もっと前?」



「わかんない…。」



昔は私を抱き上げられるほど
体だって大きくなくて……



声だって



「変わるよ。」



こんな風に低くなくて……



「長かったんだから、ほんと。」



ふにゃっと笑う可愛かった笑顔も
知らないうちにかっこよくなってて。



「もう完全に手遅れだと思ってたから
……もったいないことしてた。」



こうやって私の頬に触れてる手だって
こんなに大きくなかった。





…………え?



手が…



_
< 229 / 255 >

この作品をシェア

pagetop