Triangle‐狼達とうさぎの関係‐
「ちょ、ちょっと待って!」
私の腕を掴んだまま、どんどん歩く陽詩。
「待ってってばっ!!」
図書室の奥まで連れて来られ
腕を掴んでいる手の力が緩む。
図書室と中庭の広さが自慢のこの学校。
わいわいと作業をこなす
みんなの声が遠くに聞こえる。
「幸永のこと見てなかった?」
そう言いながら本棚にもたれ掛かると
冷たい目で見てくる。
陽詩がこんな顔することなんて
ほとんどないから
どうすればいいのか分からず言葉が出ない。
「見てたよね?なんで?」
「『なんで』って…。わかんない…。」
なんで?
陽詩こそ…なんで怒ってるの?
「わかんない?」
やだ……。
泣きそう……。
「……うん。」
潤んだ目に気付かれないように
下を向いて返事をする。
「ここに連れて来られた理由も?」
「うん。」
トンッ…―
気付いたときには陽詩の腕の中にいた。
「そっか。じゃあ教えてあげる。」
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