Triangle‐狼達とうさぎの関係‐



「ちょ、ちょっと待って!」



私の腕を掴んだまま、どんどん歩く陽詩。



「待ってってばっ!!」



図書室の奥まで連れて来られ
腕を掴んでいる手の力が緩む。



図書室と中庭の広さが自慢のこの学校。

わいわいと作業をこなす
みんなの声が遠くに聞こえる。



「幸永のこと見てなかった?」



そう言いながら本棚にもたれ掛かると
冷たい目で見てくる。


陽詩がこんな顔することなんて
ほとんどないから
どうすればいいのか分からず言葉が出ない。



「見てたよね?なんで?」



「『なんで』って…。わかんない…。」



なんで?


陽詩こそ…なんで怒ってるの?



「わかんない?」



やだ……。


泣きそう……。



「……うん。」



潤んだ目に気付かれないように
下を向いて返事をする。



「ここに連れて来られた理由も?」



「うん。」



トンッ…―


気付いたときには陽詩の腕の中にいた。



「そっか。じゃあ教えてあげる。」



_
< 23 / 255 >

この作品をシェア

pagetop