Triangle‐狼達とうさぎの関係‐
ハッと我にかえり
「ねぇ…。何言われたの?」
陽詩の顔を覗き込むように見るけど
「いや、別に……。こっちの話。」
目を逸らされた。
「じゃあ、なんで…?
なんで普通に話せてたの?」
「え?雪乃も小中の友達に会ったら
普通に話すでしょーが。」
ツンッとおでこを人差し指で
軽く突かれる。
「そうだけど…。」
あ………。
そっか。
私は話したくても話せなかったけど
陽詩はただ話さなかっただけなんだ…
だから朝も「別に」って。
嫌われてたのは私だけだったのに
何言っちゃってんだろ…。
「確かに久しぶりで
びっくりはしたけどね…。」
陽詩はそう言ったけど
私はずっと願っていたことが
あまりにもいきなり叶ったことに
動揺を隠せなくて。
…そのせいで私はまだ
気付けてなかったんだ。
優しくて控え目だった幸に
私の知らない顔があるってこと。
_