Triangle‐狼達とうさぎの関係‐



幸の頭の左側にそっと右手を着いて
もう片方の手で幸の右頬に触れる。




あ…、ピアス……

開けてたなんて知らなかった。




「幸…。」



つい呼んでしまったその瞬間、
幸の目が開いて
頬に触れていた方の腕を引っ張られた。



ドサッ…――



引っ張られたことでバランスを崩し
幸の隣に倒れ込む。



何が起きたのか分からなくて
仰向きに倒れたまま呆然としていると


幸は私の方を向くように
体制を変えると自分の手で頭を支え
口を開いた。



「今、何してたの?」



「え!?いやっ、何も……」



触ってたなんて絶っ対に言えない!!



「何も…?目開けたら目の前にいたのに?
そんなわけないよね?」



口角を上げながら追求してくる幸は
この状況を楽しんでいるように見える。



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