3minutes


「そうそう!この前さぁ、小百合が誰かと援交してたって言うのが学校にバレたんだよね。そのことも、ちょっと自分でアレンジして~……」


 うん、うんと話の内容に見向きもしない相槌を打ちながら、べっとりと塗りたくられた雅美のグロスから視線を逸らす。カップヌードルが出来るまで、残り1分を切っていた。


「…ちょっと、亮?あたしの話きいてる?」

「あ……うん、きいてるきいてる。小説に小百合のことを書くんだろ?」

「小百合がさぁ、最近ちょっと調子にノッてんだよね。だから、イジメの代わりにネット上でバラしてやろうかなって…」

 女の考えることは良くわからないが、ただひとつ言えることは、俺の目の前にいるこのケバい女は『馬鹿』だってことだ。
 瞳を子供のようにキラキラさせて友人の悪口を楽しげに話す姿は、俺の目にはとても醜く、歪んだ残像を残していった。

「あ!でも亮の悪いことなんか全ッ然、書いてないから!良かったらあたしのホームページに遊びに来てよ、URL、後でメールして送っとくからさ」

「うん、楽しみにしてる」

 雅美が書く小説の中の俺はきっと、やましいことなんてひとつも無く、ただ純粋な気持ちで雅美を愛している。
 でも、現実の世界じゃ、嘘をつくことなんて日常茶飯事だ。

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