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「そうそう!この前さぁ、小百合が誰かと援交してたって言うのが学校にバレたんだよね。そのことも、ちょっと自分でアレンジして~……」
うん、うんと話の内容に見向きもしない相槌を打ちながら、べっとりと塗りたくられた雅美のグロスから視線を逸らす。カップヌードルが出来るまで、残り1分を切っていた。
「…ちょっと、亮?あたしの話きいてる?」
「あ……うん、きいてるきいてる。小説に小百合のことを書くんだろ?」
「小百合がさぁ、最近ちょっと調子にノッてんだよね。だから、イジメの代わりにネット上でバラしてやろうかなって…」
女の考えることは良くわからないが、ただひとつ言えることは、俺の目の前にいるこのケバい女は『馬鹿』だってことだ。
瞳を子供のようにキラキラさせて友人の悪口を楽しげに話す姿は、俺の目にはとても醜く、歪んだ残像を残していった。
「あ!でも亮の悪いことなんか全ッ然、書いてないから!良かったらあたしのホームページに遊びに来てよ、URL、後でメールして送っとくからさ」
「うん、楽しみにしてる」
雅美が書く小説の中の俺はきっと、やましいことなんてひとつも無く、ただ純粋な気持ちで雅美を愛している。
でも、現実の世界じゃ、嘘をつくことなんて日常茶飯事だ。