SでもMでも



 今さら授業に出ても仕方ないので、
 授業が終わるまで保健室に居る事
 に決めた。


 何気なく窓を見ると、校庭で男子が
 サッカーをしている。
 体育教師が野太い声で指示を出し、
 それに対して男子生徒達がブーイング
 していた。
 
 不思議に思い、美央は窓を開けて
 身を乗り出した。
 

 男子生徒の群れは、サッカーを中断させ
 られ校庭を走る事になったようだ。
 
 
 わらわらと集団で走る男子たちの
 ジャージは、泥にまみれている。

 「きったない・・」

 自分の事を棚に上げ、美央は呟いた。
 
 こんな姿で、クラスメート達に
 会いたくない。
 やっぱり掃除が終わるまでここに
 居ようか?
  
 そんな事を考えながらボーッとして
 いると、廊下からキュッ、と足音が
 聞こえてきた。
 
 
 保健室に向かってきている。
 校医のスリッパの音とは違うので
 おそらく生徒だ。

 

 隠れることは無いのだが、美央は
 反射的にベッドに戻り、中から
 見えないよう急いでカーテンをかけ
 シーツを被る。
 
 
 足音は保健室でピタリ、と止まった。
 やはり用事があったようだ。

 
 ガラリと戸が開かれた時、美央は
 とてつもなく後悔した。
 
 入ってきたのは、伸だったのだ。
 
 伸は迷うこともなく、思い切り
 カーテンを開けた。

 「居た」
 
 ギシッと音がした。
 重みを感じる。

 
 乗っかってる!?
 

 「ちょ、ちょっと!」
 美央は驚いてシーツから顔を出した。
 
 「何やってんの!やめてよ!」
 




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