SでもMでも




 まるで子犬のような瞳で直視され、
 いたたまれない気持になる。
 
 なんなの、その目は・・
 美央は伸から瞳をそらした。
 
 
 駄目だ、
 
 
 裏切られたのだ。
 弟みたいなものだと思っていたのに。
 
 
 「心配とか、思ってもいない事言わ
  ないで。あんたなんか・・」

 喉がヒリヒリする。


 「ただやりたかっただけでしょ」


 傷つけてやりたい。
 

 しかし、発した言葉に自分が傷つき
 そうだ。

 「そう思うんだ?」
  
 掴まれている手首が痛い。
 思わず叫びそうになったが、美央は
 なんとか我慢した。
 
 こうなったら意地だ。
 
 「それ以外に何があるのよ」
 
 思い切り睨みつける。
 
 
 男なんて、サルだ。
 女の後を追いかけまわして、さん
 ざん良いコトを言う。

 
 手に入るまでは追いかけるのに、
 手に入ったら自分の所有物にする
 のだ。

 
 SEXしたとか、してないとか
 そんなの何の価値も無いのに。

 
 だから、
 だから私は。

 
 「俺は、みーちゃんが好きなんだけど」
 
 沈黙の末、伸が口を開いた。
 泣き声のように聞こえて、一瞬戸惑う。

 
 「でも、強引だったよね。」
 

 同意を求められても・・
 どうしたら良いかわからない。
 
 「けど謝らないよ」
 
 
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