恋雫
◆*。迷いの片思い
出会いは、最悪だった。
私は、色々な都合で北海道から、東京へ引っ越してきた。
高校の2学期が始まる寸前の転校に、少し焦りを感じていた。
こんな中途半端な時期に、引っ越しだなんて…。
「…はぁ」
重たいため息を零す。
「雫、もうそろそろ学校だ。しゃんとしろよ」
「はぁい…」
終夜(シュウヤ)からの言葉に、
適当に返事を返す。
家から車に乗って、
学校に向かっている私。
初めて見る景色に、
どこに視点を集中させていいかわからなかった。