恋雫
★*。雨粒
「…降ろして…」
「え?」
その言葉と共に、終夜は車を止める。
「やっぱり、今日は歩いて帰る」
「しず…」
"バタンッ…"
終夜が私の名前の呼ぶ前に、私はドアを閉めた。
終夜の為に引っ越すのも、泣くのも何度目だっけ?
「っ…ぅ……」
別に、辛くないもんね。
ただ、悔しいだけだもん。
いつまでたっても、
自分の気持ちを切り替えられない自分に、
腹が立ってるだけだもん。
どうせ、届かないなら、
初めから期待して傷つくより、
初めから期待しないで、
悔しい想いした方が…マシだもん。
この想いを、何度自分に言い聞かせてきただろう?
だけど、全然終夜が頭から消えなくて…。
拭いても、拭いても溢れる涙。
誰かを好きになるって…切なくて…苦しい…――――。