恋雫




なんで、笑顔なんだろう。

お父さんと、お母さん、死んじゃってるって…ことなんでしょ?

どうして、笑っていられるの?

総悟を見ていると、

どうしても話したくなった。

自分のことを…。



誰にも言えない自分のことを…。




親から愛をもらえなかった、自分のことを…。







「…そろそろ、帰る。ありがとね」




用意されたコーヒーを、一口も飲まずに、

私はバックを肩にかけた。


玄関の方へ行くと、

総悟も見送りか、

玄関の方へ来た。



「…じゃあ、また明日」

「なんかあったら、簡潔に俺に話せ。相談くらい、のってやんよ」

「嬉しいけど、やめとく。総悟には、話しても理解できないことだろうし☆」




なんとなく、

本当になんとなくだけど、

総悟といると、傷ついた自分が、癒された気がした。





それだけで、私は充分満たされた。





ありがとね。



そう心の中で思いながら、総悟に手を振り、

玄関を閉めた。



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