恋雫
学校が終わってからの私は、少し不機嫌だった。
いきなり髪触ってきたかと思えば、
「いじめがいがある」だの。
「ドロップ」だの…。
「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!ムカツク!」
「…どうかしたか?」
車の運転席に座る終夜が、心配そうに言ってきた。
心配させちゃいけないや。
「うぅん!なんでもない!」
「…総悟のこと?」
「へ…?」
なんで…?
「いや、仲良さそうに今日ずっと喋ってたろ?」
なんでよ。
「さっそく友達が出来て、俺も嬉しいよ。ぁ、もしかして、総悟と付き合っちゃうとか♪」
なんで、アイツの名前が出てくるの?
「そ、そんなわけないじゃん!アイツが勝手に、私の髪の毛引っ張っただけで…それ以外何にもないもん」
「そうか?」
「うん!」
「俺は、初めて総悟とあったけど、雫と総悟…似合うと思ったんだけどなぁ…」
胸に突き刺さるのは、とても冷たい鉄の矢。
隠したいのは、悲しみの涙。
届かない恋は…どんなに手を伸ばしても、届かなくて…。