distance~いちめーとる~
私はおばさんの冗談に笑った。
「そんな、おばさん。私と由樹が結婚だなんてあるわけないじゃないですか!」
「あら、そうかしらねぇ…」
「そうです!私と由樹は“友達”ですよぉ」
--ガタッ
急に由樹が音をたてて立ち上がった。
その音があまりにも大きすぎて、その場が凍りつくように静かになる。
沈黙の時間。
時計のカチカチという音だけが、部屋に響く。
由樹もしばらく立ったまま何も言わなかったが、
「風呂に入ってくる」と言って、リビングから出ていった。
「悪いこと言っちゃったかしらねぇ…」
おばさんが、ぼそりと呟く。
私には意味が分からなかった。
何でこんな空気になってしまったのか…
俯いていて表情は見えなかったけど、由樹は明らかに怒っている様子だった。
……なんで…かな…?