ラブ☆シェア

目が覚めると


白い天井…



目線だけを動かしてみる。


どうやら、病室のよう・・・


ベッドの側に、うつ伏せて寝ている少しウェーブがかった黒髪の男性。


その髪を触ってみた。


「・・・ん・・・」


その髪の主が、
顔を上げた。


私の視線と目が合うと、


「あ、実さん、具合どう?」


「う・・・ん、大丈夫。
それより、何で市居くんが?」


「木村先生から連絡あって・・・
実さん、身内誰もいないから、助けてやって欲しいって・・・」


「そう、ゴメンね・・・お店大丈夫なの?」


「店って・・・、俺のバイト先、知ってたんすか?」


「まぁ、なんとなくね、
時間帯が時間帯でしょ
私でも、わかるわよ」


「はは、そっか・・・
俺の方は、全然大丈夫だから・・・
それより
実さん、身内いないって、ホント?」


「うん・・・
随分前にね、事故で二人とも逝っちゃったの
妹は、いるけど、
今は海外だから・・・」


「そうなんだ・・・
実さん、一人で頑張ってきたんだ・・・」


「そう・・・ね・・・」


私を見つめる市居くんから少し目をそらした。


「実さん
何か、飲みたいものとかありますか?」


「ん、じゃあ、お茶買ってきてくれる?」


椅子から立ち上がり
病室を出た市居くん。





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