ラブ☆シェア
入口で暗証番号を押し、
エレベーターに乗り込む。
「あ・・・・」
何か買い忘れでもしたのか、彼女の目が宙を泳ぐ。
「どうした?」
すると、
繋いでいない方の手が俺のスーツを掴み、
背伸びをした彼女が、俺の頬にキスをした。
「22歳、おめでとう」
二人きりの箱の中、甘い空気が流れた。
「ゴメンね、昨日、お店の雰囲気に呑まれてたし、
そのまま仕事行っちゃったから、顔見てちゃんと言わなきゃと思って・・・」
俺を見上げる瞳の端に、俺もキスを落とした。
「ありがとう 実。
俺、今年の誕生日は、一生忘れられないよ」
そして、
彼女の唇にキスを落とそうとした時、
エレベーターの到着音が鳴り、
開いた扉には、このマンションの住人が待っていたので、
彼女の唇は、お預けになった。
まぁ、いいさ、
これから二人の時間はたくさんあるんだから。