ラブ☆シェア
「一日であれだけ滑れるようになるなんて、実、凄いよ」
「そ、そうかな?、ちょっとは、形だけでもましになったかな・・・」
緩んだ表情で、私の肩を抱き寄せた。
お昼前にスキー場に到着して、
休憩を二回ほど挟んで、滑りっぱなしだったけど、
珠樹が一緒だと楽しくて、
あっと言う間に、肌を刺すような寒さの時間になった。
美耶子が手配してくれた旅館のロビーに入り、
チェックインの手続きをしに、彼はフロントへと向かった。
私は、ソファーに座り、彼の行方を目で追っていると・・・・
「珠樹・・・?」
私の視線の横から、ショートカットの若い女性が、彼に声をかける姿が目に入った。
歳は・・・きっと、珠樹と同じくらい、
この旅館の制服?らしき格好。
話してる内容は、聞こえないけど、
珠樹の表情は・・・・
どことなく、懐かしげで・・・・少し、切なそう・・・・
彼女も、物憂げな瞳で、彼を見つめて話している・・・・
ざわざわと胸の奥がかき乱される感情が湧きたち、
そんな想いを打ち消そうと、
視線を戻そうとするけど、
私の瞳は言うことを聞かなくて、
じっと、二人の様子を窺ってしまう。
時間にしたら、2、3分のことだったと思う。
だけど、私にとっては、とても長い、長い時間に感じられた。