ラブ☆シェア

「そんな、難しい顔しないのっ」



眉間にシワが寄った市居くんの額を小突いた。



「っっって、な、何を言ったんですか?由梨は」



「たいしたことないわよー、んー、近づくな、とか、誘惑するな、とか、かな」



フライパンに卵を流しこみ、手早くスクランブルエッグを作る。



「・・・・あいつっ!」



フライパンから目が離せないが、市居くんが、かなりムッとしたことだけは、なんとなく感じられた。



「そんな、怒ることないわよっ、って、いうか、市居くん、彼女のこと、考えてあげたらっ?」



「・・・・・・」




「彼女、ホントに、市居くんのことが好きなのよ・・・・わかるなぁ、彼女の気持ち、私も若いころ、一生懸命、恋したもの・・・・」



出来あがったスクランブルエッグにじっと目をやりながら、呟いた。



目の前に、白い皿が差しだされ、



「由梨は、1年の時からの友達なんです。それ以上の想いはないんです。それに・・・」



「それに?・・・」



言いかけた言葉を飲み込もうとしたので、聞いてみた。



「もう、彼女とか、作る気ないんです!」



キッパリと私に言い、目の前のお皿に、フライパンからスクランブルエッグを盛り付けた



市居くん自身の問題だから、私がそれ以上、意見するつもりはないけど・・・・






< 87 / 286 >

この作品をシェア

pagetop