雨に流れる
バースディ
「ねえ、一人?」

「え、いや…え?」

べろんべろんに酔っぱらうってこういうこと言うんだよな。

とても18歳以上には見えない、ちっちゃくてかわいい女の子が真っ赤な目をして話しかけて来た。

よく見ると短いスカートからすらっとした足が出ていて。

今まで踊ってました!って雰囲気。

「きーめた!君お持ち帰りけってーい!」

「はぁ?」

気がつけば俺の腕にがっつりしがみついている彼女。

近くに来るだけで酒臭いのが伝わってきた。

俺もかなり飲んだと思うけど、この子何飲んだらこんなににおうんだ?

酔っぱらってうまく回らない俺の頭が、腕に当たる彼女のやわらかい体に素直に反応してしまう。

「てか、誰?」

「はは。ルナだよ。タケシ」

「え、なんで名前しってんの?」

「あ、タクシー!!!」

20歳の誕生日に、俺は初めて見知らぬ女の子を「お持ち帰り」した。

…されたのか?ん?
< 1 / 48 >

この作品をシェア

pagetop