雨に流れる
「えー、それはよくないよ。せめて朝ご飯は食べなきゃ」

明日からは私が作ってあげるからね、食費は折半で!などと言いながら嬉しそうに歩いているルナ。

ね?なんて振り返って俺を見上げるその顔に、どきっとしてしまった。

「…どこで?」

「え?」

「どこで俺のこと、知ったの?」

俺が大学生で、名前まで知っているルナ。

年も違うし、接点なんてなさそうなのに、どこで俺のことを見ていたのだろうか。

「…どこでもいいんじゃない?ね、ね、買い物して帰ろうよ。何食べたい?」

俺とつないだままの手を大きく振りながら、楽しそうに前に進むルナ。

昨日会ったばかりのよくわからないこの女の子に振り回されている俺は、どうしたんだろう。

こんな風に、知らない女の子と一緒に過ごすなんて、生まれて初めての体験。

彼女がいなかったわけじゃないけど、こうも懐かれてしまうとドキドキが止まらない。

「あ、俺夜バイトだから夕飯いらないんだけど」

「えー、そうなの?」

「ルナはフリーターなんだろ?仕事は?」

「今日は定休日!」
< 11 / 48 >

この作品をシェア

pagetop