雨に流れる
そんなことを思ってしまった自分に驚いて、思わず繋がっていた手に力を入れてしまう。

「ん?どした?」

そんな俺を不思議に思ったのか、再び見上げられて顔が赤くなってしまった気がする。

「なんでもない」

「変なの〜」

そんな俺に気がついているのか、くすくす笑いながら再び前を向いたルナ。

繋がっていたてはそのままで、ちょっとだけ安心した。

安心?

何となく繋いだままだった手だけど、俺は今、離したくないと思ってるんだ。

なんだか自分の気持ちに着いていけず、かといってルナの手を振りほどくこともできずにただ前を向いて彼女の横を歩いた。

彼女の話はつきることはなくで、バイト先に来るお客さんの事だったり、バイト先の同僚の事だったり。

彼女自身の事はあまり話さないけど、彼女の口が止まることはなかった。

「ここ。知ってる?」

着いたお店は見たことのない小さなお店で。

いつも通る道から一本外れただけで、知らないお店があることを初めて知った。

「ここね、小さいけど美味しいから」

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