雨に流れる
二人の会話についていけず、思わず返事をしてしまったけど。

おばさんはそのままにこにこしながら仕事へ戻ってしまうし、ルナは目の前でおいしそうに焼き魚を食べているので、小さくため息をついて俺も生姜焼きを食べることに。

黙々と食べる生姜焼きは、おいしいと評判の大学の食堂よりもずっとおいしくて。

「うまい」

「でしょ!?おじちゃんの作る料理は全部美味しいのよ」

どうやら中の厨房で料理している人がいるらしく、まるで自分が褒められたかのようにルナが嬉しそうにしていた。

そんな彼女の笑顔を見ていると、俺まで嬉しい気持ちになってしまうから不思議だ。

すべて食べ終わってから、また俺の財布から会計を済ませると再び俺の手を取って歩き出した。

しっかりと握られた俺の手。

汗ばんでないかな?なんて考えてしまう。

「ねえ、まだ時間ある?」

「あー。まあ、まだあるけど」

「じゃあさ、ちょっと歩こうよ」

俺の返事を聞く前にぐいっと手を引かれて躓きそうになってしまう。

慌てて彼女の歩調に合わせて横を歩くと、何事もなかったかのようにあれこれ話しを始めた。

内容は目の前にある木の葉っぱの色だとか、すれ違ったカップルのことだとか、本当に他愛もないことで。
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