雨に流れる
「水ぅ…」

下着なのか服なのか俺には見分けがつかないきわどい恰好で、俺のベッドの上で手を伸ばす彼女に、冷蔵庫からペットボトルの水を手渡す。

「さんきゅー」

むくっと起き上がって水を一気に飲み干し、再びベッドに倒れ込んだ。

「ルナ」

「ん?なに?」

「なんで俺のこと知ってるの?」

お昼近くに目が覚めた俺は、横に無邪気な顔をして眠っている彼女を見て昨夜の出来事が夢じゃなかったんだと実感した。

寝返って俺に抱きついてくる彼女を何とか理性で引きはがし、シャワーを浴びで目を覚ましたところで彼女が目を開けたのだ。

考えれば考えるほど謎で。

昨夜、彼女は俺に声をかけてきた。

まあ、それはああいうクラブ帰りならよくあることなのかもしれない。

実際、俺も女の子から声をかけられたのは初めてじゃなかったし、一緒にいたサトシは付き合っている彼女がいるくせによく見知らぬ酔っぱらった女の子をお持ち帰りしていた。

ただ、俺は彼女がいるわけじゃないけどどうしてもサトシのように割り切ったお付き合いというものが出来なくて女の子をお持ち帰りなんてしたこと無かったんだけど。
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