雨に流れる
言いわけにしか聞こえなかったとしても、事実を俺の口から伝えなければならなかったんだ。

しばらくしてから彼女のご両親が病院へやってきて、俺とサトシは追い出されるようにして病院を後にした。

翌日、お見舞いに病院へ行くとすでに退院した後で。

どうやら地元の病院へ転院したらしく、アパートには引っ越し業者が来ていた。

業者に聞いても行先は教えてもらえず、携帯の着信履歴からアイちゃんに電話をすると、着信拒否。

完全に彼女との連絡はとれなくなってしまい、どうすることもできなくなってしまった。

落ち込んでいるのは俺だけではなくて、すべて自分の責任だと思っているサトシは自分の人脈を使って何とかヨウコのことを調べてくれたらしい。

それからしばらくして。

地元がどこで、転院先の病院がどこかまで突き止めたサトシは、俺に連絡先を教えてくれた。

「…ありがとう。でも、もう終わったことだから」

ちょうど同じころ、ヨウコから手紙を受け取っていた俺は、サトシにその手紙を見せた。

内容は、心配掛けて申し訳なかったと言う謝罪と、もう二度と会いたくないというもの。

俺が他の女の子と一緒にいた写真を見る前から、俺のことを信じられなくなっていたということ。

写真はきっかけに過ぎなくて、すでにあの頃には食事量が減っていて体調がおかしくなっていた、と書かれていた。

だから、サトシも俺も悪くない、と。
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