雨に流れる
運動らしい運動をしていなかった俺は、暑さであっという間にばててしまったけど。

サトシは俺の倍以上は打ち込んで、気持ちよさそうに汗を流していた。

「サウナでも行くか!」

「はぁ?」

汗臭い男二人でサウナへ行き、汗を流しつつビールを飲んで。

外はまだ夕焼けには早い時間だったけど、そろそろ仕事帰りのサラリーマンが街に出てくる時間帯に近づいていた。

他愛もない話をしつつ、つまみをつつきながら外を見ると、昼間晴れていたはずの空から雨が落ちてきて。

「げ。雨降ってきたし」

同じように雨に気がついたサトシが、あーあと言いながら空を見上げていた。

「通り雨じゃね?」

「だといいなぁ。せっかく気持ちよく汗かいてすっきりしたのに、また濡れて帰るのは勘弁」

雨がやむことを願ってビールをお代わりし、暗くなるまで飲んでいたけど残念ながら雨はやむ気配がなくて。

「酔い醒ましに帰るか!?」

「なんだそれ。濡れて帰るってこと?」

雨が降る中サウナを後にし、入口で売っていたビニル傘を買って駅までの道を歩いた。

「雨が降ると少しだけ涼しくなるな」

「もう9月だしなぁ」

外は昼間に比べたら幾分涼しいけど、それでもまだ蒸し暑さは残っていて。

雨にぬれた風は、それでも真夏には感じられない涼しさを少しだけ感じることが出来た。
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