雨に流れる
俺の予想通り、スッピンの彼女はかなり幼く見えて。

ぶかぶかの俺のシャツからはみ出ている肩はすごく細くて、そして色っぽい。

「ねえ、昨日誕生日だったんでしょ?いいことあった?」

「…なんで知ってんの?」

相変わらず俺のことを知っているのが気持ち悪くて、少し睨むようにして彼女の目の前にコーヒーを差し出す。

「ふふ。あれだけ大騒ぎしながら誕生日祝いしていたら、あそこにいた人たちは皆知ってるでしょ」

「あ…」

そうだ、昨日は俺の誕生日パーティーをするとかで呼び出されたんだった。

張りきったサトシが知り合いのDJに頼んでえらく派手にお祝いしてくれて、なぜかクラブ全体が俺の誕生日パーティーのようになってしまった。

「昨日はねぇ、ハロウィンの翌日で盛り上がりに欠けていたからよかったんだけどね」

おかげで大盛り上がりで楽しかったし!

俺の入れたコーヒーを美味しそうに飲みながら、ルナがにっこりと笑ってくれた。

「…そっか」

だから、俺の名前を知っていたんだ。

きっと盛り上がりの中心にいて名前を連呼されていた俺を、どこかで見ていたのだろう。

なんとなく納得できてつかえていたものが晴れた気分の俺は、自分用に入れたコーヒーをグイっと飲むとカウンターの上に置いた。

「ところで、ここ、どこ?」

「はぁ?何言ってんの?」
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