雨に流れる
きょろきょろと部屋の中を見渡したルナが、窓辺へ歩いて行って外を見て首をかしげている。

「どこって、俺の部屋だけど」

「そんなの知ってるし。駅から近いの?」

「ああ、まあ、徒歩10分くらいかな」

ふーん、と興味があるんだかないんだか今度は部屋の中をあれこれ物色し始めた。

「おい、何やってんだよ?」

さすがにあれこれ勝手に触られるのは気分が悪い。

2つある扉を両方開けてから、ルナは俺の前へ来てにっこり笑って俺を見上げた。

「決めた。ここに住むわ。あの部屋空いているんでしょ?」

「空いてるけど…っておい?」

今、住むって言ったか?

あまりの衝撃発言に、言葉を失ってしまった。

「そう、よろしくね、タケシ」

「いや、よろしくねって俺お前のことルナって名前しか知らないんだけど」

「ああ、そっか。じゃあ自己紹介。私、大谷ルナ。22歳フリーター」

「22歳!?」

絶対に俺よりも年下だと思っていたルナが、俺よりも年上だったことに思わず声をあげてしまった。

童顔だっていっても、幼すぎないか?

…体は見た感じしっかり大人の女性っぽいけど。
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