雨に流れる
「ルナ。ここに住むって本気か?俺のこと何も知らないだろう?」

「しってるよ。タケシって名前で、昨日誕生日だったんでしょ?」

って知ってるのってそれだけ!?

なんだかもう呆れてため息しか出てこない。

彼女の肩に手を置いて大きくため息をついたら、ルナが俺の首にその細い腕をまわして抱きついてきた。

「…嘘。全部知ってるよ、戸ノ先タケシ、20歳。大学2年生でしょ」

ぎゅっと抱きつかれた彼女からは、普段俺が使っているシャンプーのにおいがして。

そっと体が離れたかと思うと、やさしく触れるだけのキスをされた。

「ずっと、見ていたから。君のこと」

何を言われたか理解できなくて、目の前にあるルナの顔を見つめてしまう。

ずっと見ていた?俺のこと?

「意味が、わからない」

嘘、ばかり言うルナの何が本当で、何が嘘なのか。

今のキスは、何?

びっくりして固まっている俺を見て、お腹を抱えて笑う彼女は、やはりどう見ても俺より年上には見えなかった。
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