雨に流れる
しばらく笑った後、鞄の中から取り出した免許証を見せてくれたルナは、本当に22歳で高校卒業してから地元を離れているんだと教えてくれた。

「一応ね、フリーターだけど働いているから収入はあるんだけど、家賃払う自信なくて」

ルームシェア、お願いしますなんて頭を下げられてしまった。

友達のところを追い出されたのも本当らしいけど、男の家を転々としているというのはどうやら嘘っぽい。

昨日追い出されてクラブでやけ酒?そんなところだろうか。

普段は大学で、勉強以外の時間はバイトに明け暮れている俺にとって、親が借りてくれているこのアパートは寝に帰る場所。

部屋だって荷物置きにしていたけど、荷物と言っても本とかCDとかそんなものばかりできちんと整理すれば部屋として十分に使える広さが確保できるはず。

すっかりその気で当たり前のようにくつろいている彼女に、あれこれ出て行くように説得してみたけど全く聞く耳持たずでいついてしまった。

「ねえねえ。車持ってる?」

「…免許も持ってません」

「えー。そっかぁ。駅前のコインロッカーに荷物預けてあるから取りに行きたいんだよね」

「…どうぞご自由に」

「タケシ、冷たい」

部屋へ入ってからしばらくするとジーパンにTシャツと言うシンプルな服装に着替えた彼女が出て来た。

…服を持っているなら、俺のを借りる必要なかったんじゃないの?
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