君だけじゃたりない
"ヤンデレ"という言葉を最近耳にする。
友達が言うには、僕は立派な"ヤンデレ"らしい。
確かに僕は君が好きで、愛や恋などという言葉じゃ足りないとは思う。
でも殴ろうとは思わないし、流石にストーカーもどきのような行動も出来ない。
「菜央!! なおっ?? 」
君が超近距離で僕の顔を覗き込む。
「ごめん、ボーッとしてた」
僕は君の髪を撫でてから、そっと隣に座らせた。
…あまり、僕に近づかないで欲しい。
「どうしたの? 考え事? 」
「真由のこと考えてたんだよ」
なんて言ってみる。事実なんだけど。
でも君は疑いの目で僕を見つめる。
「信じられないの? 僕が」
「ううん! そんなことないよ」