恋よりも、
球技会二日目。
一日目の昨日で、サッカーと女子バスケ、卓球は既に決勝まで終えている。佑美に聞いた話では、私達のクラスはサッカー以外はそこそこの成績だったらしい。
二日目の今日は、男子バスケと女子バレー。体育館を半分に仕切り、二種目同時進行で試合を行っていく。
今日は私もバレーの試合があるため、朝から体育館で待機だ。加賀先生には前もって伝えてあるので、保健室へは寄らず体育館へ直行した。
体育館は熱気が溢れ活気に満ちていた。キュッというシューズを鳴らす音や、ボールをドリブルする音、そして盛大な声援が体育館中に響いている。周りはどこも興奮状態。
私は目の前で繰り広げられるバレーの試合をぼうっと眺めていた。一年生対三年生の試合で、可哀想だけれど力の差は歴然、三年生が圧倒的だった。
バレーのルールは、公式と同じ。しかし時間がかかるため、十五点を三セット行う仕組みになっている。
バレーの経験は体育の授業でしかないものの、運動神経はそこまで悪くはないと思うし、全力を尽くそう。足を引っ張るような事だけは避けたい。
「香月、次だから、そろそろ準備しよ」
同じバレーのメンバーの子がそう声を掛けて来たので、頷いて後に続く。
軽くウォーミングアップをして体を温め、いよいよ試合に臨む。
コートに入ると、すぐ傍から声が聞こえた。見れば佑美や弥代を含むクラスの子が数名、応援に駆けつけてくれていた。それに微笑んで応えていると、試合開始のホイッスルが鳴り響いた。
相手は、二年生。
多分、力の差はほとんどない。でも、相手はチームワークがまるでなかった。一人一人の力はあるのに、チームワークがないためトスが続かない。その点、こちらは二年の時から付き合っているメンバーだ。チームワークで負ける事はない。
結局、相手がミスを連発してくれたおかげで、足を引っ張ることもなく、軽々と二セット先取する事が出来た。
「お疲れー」
試合が終わってタオルを渡す佑美にお礼を言って受け取る。