草食系部下と私様上司②
「あの…上川さん」

走るのを止めて、俺の方に振り返った。

「付いて来る暇有ったら、仕事しなさい。」


そう言い残して、女子トイレに入った。

俺には…もう……
追い掛ける資格さえない…。


力無く、オフィスの廊下を歩いた。


「鶴見君。」


会議室の前に、何故か笹岡さんがいた。

「笹…岡さん」


「何、泣きそうな顔してんの?」


「いえ…別に…。」

二人で会議室に入った。


パタンッ


「上川さんと…何が有ったの?」


「何も……。」


こんな情けない顔を見られたくなくて、笹岡さんの顔が見れなかった。


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