日常リバーシブル
彼女に声をかけられる。

「あなたもお困りで?・・・よろしかったら、傘・・・差し上げましょうか?」

「・・・あなたは妹さんを迎えにいらしたんでしょ?」

「はい。だけど、妹も同じ気持ちだと思います」


穴のあいた傘を受け取る。指のない手で。



「・・・それでしたら、一緒に傘に入れてもらってもよろしいでしょうか?
妹さん、私がおんぶしてあげますから、そうすれば3人でも狭くないし、
みんな傘の下に入れるでしょう。
あ、黒猫も一緒なので、3人と1匹ですね」


「えぇ、かまいません」

「わぁーい、おんぶ、おんぶ♪ありがとう」

「どういたしまして。こちらこそ、ありがとう」

「どういたしまして。じゃあいきましょうか」


彼はピアノと笑顔の女の子を背負って

黒猫と姉妹と一緒に

穴のあいた傘を差して

雨に濡れて歩いていった。



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