アナタハシニマシタ
怒りで我を忘れそうな時に、



「お前はミルク入れた方がいいか？それともブラックのままか？」



優次の声が聞こえた。そこで修が我に帰った。どうやらコーヒーのことを言っているようだ。



「ミルクたっぷりでお願いします！」



平静を保ちながら答えたつもりでいた。そしてすぐにコーヒーカップを二つもって優次が現れる。



修の前にカップが置かれる。白い陶器に水玉模様が入った可愛らしい一品だ。持っている人が人だから少し笑いそうだ。可愛さがない人が持っているほどそのギャップでそう見えてしまう。



修はゆっくりコーヒーを飲む。修はコーヒーはあまり飲まないのでミルクを結構入れてもらったがそれでも苦く感じた。



「どうだった？見た感想は？」



いかにも何かを言わせようとしているのが見え見えの質問だったが、修の答えはもう出ていた。



「こいつをぶっ飛ばします」



少し以外だったのか、優次は驚いた顔をしていた。そしてすぐに、



「はははっ！こいつはいい！――気に入ったぜ。『許せない』って言うかと思ったが、お前は俺の予想を超える答えを持ってきやがる」



そう言って優次は笑いながら一枚の紙を修の前に差し出した。



「契約書だ。お前は奴を倒すまでこの事務所で働くんだ。今は未だ情報がない。『キラー』のしっぽを掴んで倒す。そうすればお前はまた元通りの生活に戻れる。どうだ？俺と手を組まないか？」



「・・・どうせ嫌だと言ってもまた死ぬ羽目になるんでしょ？だったら答えは一緒です」




そう言って修は契約書にサインした。



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