アナタハシニマシタ
午後十一時。


修は例のコンビニの近くまで来ていた。外灯もないこの場所は真っ暗で寒い。十一月もあと一週間ほど。この時間は氷点下近くまで気温が下がっているだろう。



車の通りなどない。堅気の人間ならこんな夜中にコンビニを利用することはほとんどない。すでに家に戻り床に入ろうとしている時間だろう。ならこんな時間に『仕事』をしている自分は普通の、堅気ではないということだろう。



店内から六人の男女が出てきた。高校生ほどの少年少女。服装は寝間着に着ているようなスェットを下げて歩いている。そのため裾がぼろぼろになっている。髪は茶や金で黒い者は誰もいない。


そして、入口の近くに座り煙草に火を付ける。紫煙の煙を盛大に吐いて談笑し始める。


――あいつらか?



修は資料に載っている顔写真を確認する。全員の顔が一致したので修は角を曲がってコンビニに向かおうとした。



コンビニの自動ドアが開いた。それに気づいた修はすぐに角に身を隠して顔だけ出して様子を見る。



出てきたのは髪が黒い大人しそうな少女だった。年は入口にしゃがんで話している少年たちと同じくらい。彼らと違いラフな格好ではなく、黒のジャケットにチェックのスカート、黒のストッキング。


そんな少女が両手に下げているのはコンビニの袋。かなり買い込んでいた。そしてその袋を少年たちに差し出す。少年たちはそれを奪って袋を逆さにして地面に買った商品を落とす。
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