アナタハシニマシタ
落ちてきたものは、お菓子にジュース。そして煙草だった。未成年には売ることが禁止されている煙草をどうして買うことができたのだろうか。修は分からなかった。


買うのが少年たちだったら、気の弱い店員なら黙って金を貰って売るかもしれない。だが、あのような少女だったら売るとは思えない。



「もう・・・これっきりにしてね・・・」


少女がおどおどした言葉で少年たちに話しかける。少年たちは全く聞いていない。談笑しながらお菓子を貪るのに夢中だった。



――彼女はオーナーの娘なのか?



そうなると話は繋がる。店員が煙草を売ったのも、依頼主が近隣住人ではなくオーナーであることも。


オーナーの娘は彼らと同い年。不幸なことに付き合ってしまいオーナーから売り物をたかる。おそらくお金は売上金。警察ではなく優次に頼んだのは脅されたからだろう。


『警察に連絡したらただじゃおかない。』そう言えばオーナーも渋々売り物を提供するかもしれない。子供なのに計算づくされた悪事だ。


ふうっと短く息を吐いた。白い息は夜空に霧散して消える。さあ、仕事をしようか。



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