アナタハシニマシタ
その後の後始末はすべて警察に任せた。解決までがこちらの仕事、加害者の更生は向こうに任せる。そちらの方が結果としてうまくいく方が多い。少年たちは気を失っているので警察がそのまま警察署の方に持っていき、逃げた少女たちも次第に分かるだろう。とのことだった。



パトカーがいなくなるのを見守ってオーナーは修に謝礼の入った茶色の紙袋を手渡し、やれやれと言う表情を浮かべて店内に戻っていく。修もやることをやったのでこの場から離れることにする。



すると誰かが修のジャケットの裾を掴んでいる。修は後ろを向くと、そこには少年たちに脅されていた少女がいた。



「もう帰っちゃうの?」



「一応僕の仕事は終わったからね」



「探偵って何でもするのね。探偵と言ったらシャーロック・ホームズのような難事件を解決するもんじゃないの?」



中々鋭いところを突いてくる。しかし、探偵と言ったらそういうイメージを持っているのが普通。こんな仕事をするのは探偵というイメージに合わない。



「探偵と一言で言ってもいろんなタイプがあるさ。シャーロック・ホームズのようになれたら最高。でもそれは一握りより少ない。ほとんどは今みたいな仕事を解決するような便利屋とか揉め事処理をするのが一般的なんだよ」



次々と口から嘘を話す修。しかし、あながち間違っているとは思っていない。実際修がやっているのはそう言う類のものなのだから。



少女の方は少し淋しそうな顔をしているので話を少しすることにした。



元々、彼女とあの不良グループには接点があった。彼女とは同じ中学校だったらしい。中学校までは彼らも真面目だったらしい。それなりの成績を取って中堅の県立高校に進学したまではよかった。



そこから彼らは変わった。いわゆる『高校デビュー』だ。一気に不良化した彼らは彼女の親がコンビニをしているのを思い出して、事あるごとに彼女に危害を加えるなどの恐喝まがいのことをして商品を持って行ったらしい。




「もう少し――あと半月遅かったら店は潰れていたわ。警察に言ってもまともに相手してくれなかった。だから藁にもすがる思いであなたの事務所に頼んだ。そして解決してくれた。だからどんなに礼を言っても足りないくらいなの」



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