アナタハシニマシタ
「勇」



優次に名前を呼ばれる。本当の名前と一字違いで紛らわしくなる。



「お前も来るか?」



意外だった。本来なら外部への露出は危険と思っていた所だったので余計意外に思った。



「良いんですか?」



「いつかは見せなきゃいけないことだからな。ちょうどいい仕事が入ったからだ」



続けて、



「行く気があるなら準備しろ。二十分後に出るからな」



修は優次が運転する車に揺られていた。乱暴な運転でもなければ、戸惑う運転でもない。いたって普通な運転だった。



車中では会話はあったが、仕事の話は話さなかった。前もって言ってくれれば、ある程度の心構えができるというのに。



車に揺られて十五分。場所はどこかの住宅街。二車線道路の両側には豪華な住宅が並んでいる。



< 23 / 46 >

この作品をシェア

pagetop